|

現在のソーシャルゲームはカードゲーム花盛り。
カードは際限なく貯めることが出来て、
貯めれば貯めるほど強くなるし、
射幸心とガチャのマッチもいいい為、アープも上がりやすく、
ドラゴンコレクションの大ヒットと共に、
このジャンルは一気に業界の主流になりました。
これはすごいと、このロジックを海外にも展開し、
一気に稼いでいければというのが各社の思惑ですが、
果たして上手くいくでしょうか。
結果から言うと、今のままではあまり上手くいかないのではと
自分は思っています。
そもそも、アーケードの世界でムシキング、競馬ゲームを始め、
カードゲームは日本で何遍も盛り上がっているのですが、
海外であまり盛り上がったという例は聞いた事がありません。
マジック:ザ・ギャザリングという、昔からの定番ファンタジーカードゲームは
あるのですが、海外でのヒットも非常に狭いニッチに限られていて
実は大きな商業的な成功は収めたことはないのです。
何故なんだろうと、何か日本に特別な事情があるのだろうかと考えるに、
自分は日本の漫画文化が大きく影響していると思うのです。
そもそも人が面白いと思ったり、楽しいと感じることを分析すると、
本能に近い部分で感じる世界共通の内容と、
ある程度知識や経験があって初めて面白いと感じるものがあると思います。
本能に近い部分とは、例えば言葉が悪く解説もいれませんが
飲む、打つ、買うといった類のもの、
虚栄心、嫉妬の部分も広く世界に共通する感情であると思います。
一方、経験、知識を必要とするものでいうと、
特定宗教への表現(畏敬の念)、一般的にクラッシックや伝統になっているもの
などが挙げられます。
例えば、自分の好きなバレエは、違う文化から見たら
ガリガリの女性がくるくる回って何が楽しいのと思うでしょうし、
白状すると自分は能を見てもあまり楽しくありません。
ミュージカルで急に歌が入ると、訳が分からないという人もいます。
ある外人に相撲を見せた時、
「Oh, this is ugly.(何これ、おかしいんじゃない?)」
とコメントされてムッとした経験がありますが、
よく考えると、知識がない人には無理からぬ反応です。
彼らに、白鵬の立会いから素早く下手を取り、
相手に相撲をさせず寄り切って行く様の見事さは語り合うのは無理なのです。
人は歳を取れば取るほどこの経験値(知)は上がって行き、
バイアスも膨らんで行く訳です。
話を元に戻しましょう。
自分は日本人が漫画から受けている影響は
かなり凄いものだと思っています。
当社の人間やこのブログを読んでいる人で
漫画を読んだことがない人はいないでしょうし、
おそらくは自分の大好きな大切な作品がある人が大半でしょう。
ある年齢以下ではほとんどの人が習慣的に漫画を読んだ経験が
あるのではないでしょうか。
その為、普通に大人になって初めて漫画を読むと、
どうやって読んでいいか分からないという人の苦労は
理解できないと思います。
これはかなり特別な事です。
おそらく、どこの国に行っても大人で、
漫画をある程度読んだことがある人はマイノリティに属するからです。
言い換えると、ほとんどの外人の大人は、
漫画を楽しめない、読めないのです。
まるで、自分が能の世界を楽しめないように。
日本人は、あの止まった絵の、しかも大胆なコマ割りの絵と文字により、
想像力を膨らまして脳内で壮大でかつ繊細なドラマを再現できるのです。
また、キャラクターやイラストを見ただけで、
様々な場面(格闘や恋愛)を想像することができ、
世界観まで想いを馳せることができる人種、
世界的には特異なニュータイプなのです。
日本のカードゲームでは、お客様として実はこのように想像力がある
ニュータイプを前提としてゲームデザインがなされているケースが
ほとんどです。カードに付随される数字上の設定が
ゲームバランスや課金に大きな影響は与える事はもっともなのですが、
その前に一番大きな前提は、プレイヤーがそのカードを持つこと自体に
リアリティや世界を感じかつ価値や嬉しさを見出せるということなのです。
このハードルを余りにも簡単に日本人はクリアしてしまうため、
海外の人にとってこれがいかに大変か、
またハードルを超える為にどのような工夫が必要かということに、
作り手はついつい考えが及ばない場合が多いのではないでしょうか。
実は、前述をしませんでしたが
世界でカードゲームが爆発したケースはあります。
それはポケモンです。
このケースでは、任天堂が、経験値、バイアスの少ない子供向けに、
アニメとゲームとカードを一緒に導入して
世界的に大ヒットさせました。
当然当時のアメリカ人や現地人は反対しましたが
(日本独特の商品だと思っていました。
100以上いるキャラクターの世界がヒットした例がなかったのです)、
任天堂のコミットによって成功を果たしたのです。
カード、キャラクターを「集めて育てて強くなる」という欲求自体は
極めて本能に近い世界共通の欲求であり、
少なくともバイアスの少ない子供には熱意を持って受け入れられました。
ただ、過小評価してはいけないのは、
アニメ放送を含めた任天堂のマーケティングコミットメント、
子供の経験値をあげる努力です。
ソーシャルゲームでカードゲームは売れないか?と聞かれれば、
実は前言修正、可能性はあると答えます。
基本欲求を満たすデザインは含まれているのです。
マイノリティとは言え増え続けるコミックファン、
昔ポケモンをした今の大人を中心にアプローチするのも良いでしょう。
経験値が少なく、かつそういうものに対してハングリーな発展途上国
(東南アジアや中国)も相性は良いかもしれません。
特に開発者の立場としては、カードをカードに見せない工夫、
つまりプレイヤーがリアリティを感じる工夫は
日本マーケットとやや違った努力、仕掛けが必要でしょう。
最後に、ビジネスとして任天堂に見られるコミットメント、
刷り込み教育を時代に合ったやり方で行う企業の根性も
必要であると思います。
海外にて、カードゲームをヒットさせること、
モバイルソーシャルが成功することは
日本のコンテンツポジションの維持、強化に欠かせません。
当社もそのプレイヤーになるべくクエストしてゆきます。
|