資本主義の神学校 その2

2009.02.16 .19:55:10

World Mapビジネススクールで初めてファイナンスの授業を受けた時のショックは今でも鮮明に覚えています。『会社の目的は何か』という、いわば『人間が生きる意味とは何』という哲学的質問に対し、ファイナンスの教科書では、明快に『株主利益の極大化である』と謳っています。この考えは、在学2年間で完璧に刷り込まれます。

投資を判定する際の基礎であるNPV(ネットプレゼントバリュー)といった言葉は、経済学部卒業でソニーの経営企画部、管理部に属していても知りませんでした。また、日本においては当時影も形もないあらゆる資産のSecuritization (証券化)について授業を行っており、金融から来たクラスメートの日本人は目を輝かせて学んでいたのを思い出します。ファイナンスに関してはそのくらいレベルの開きがあったので、色んなことが学問として面白かったのを覚えています。

NPVもSecuritization も悪いものではありません。むしろ実質的に悪かったのは、そのリバレッジのリスクに関しての量や質(情報公開)に関連したものなのだと思います。低金利の後押しもありリバレッジが大きくなりすぎて、大金が実業や実質経済を超えて相場で動くようになって経済がおかしくなってしまったのではないかと・・・。(そういう意味では、内容自体は悪くない訳です。なんか、宗教に似てますね。多くの教義は悪くないけど、運用が悪いなんて。) そうは思っていても、自分がなんとなく、被告席に近いところにいるように少し感じるのは、全面的に賞賛はしてなかったものの、そっちの世界になんとなく賛同していた、つまり『会社の目的は株主利益を最大化すること』や『市場に任せることにより価格は合理的に決まる』といった、哲学に近いレベルの概念への疑い方が足りなかったかもしれないなあ、という感覚があるからです。

とすると、日本的なやり方に戻ったらいいのではというトーンはかなり危ないとも思います。しばらく縮んでいくアメリカを中心とした世界の経済、かつ新興国の台頭とグローバリゼーションの進んでいく中で、企業なり日本なりがどう強みを持っていくかという、もっと想像力を必要とする事態なのではないでしょうか。


当社も、厳しい未来に対して、小さいながら勇気をもって絶対的な強みを構築していかなければいけないな、と思う今日この頃です。

2009-02-16 | | |

資本主義の神学校 その1

2009.02.09 .15:24:49

Wall St.

100年に一度の経済危機がやってきていると世間で騒がれています。1980年代から積みあげられた金融バブル経済が崩壊したためだと、多くの経済学者が指摘しているようです。また、アメリカ的なビジネスが批判される一方で、昔の日本の良さがマスコミで多く語られています。特に派遣社員の待遇については、大企業の対応がけしからん、昔の制度はよかったというトーンが多いようです。年末は派遣村のニュース一色でした。

このような事態を見て、ビジネススクール、しかもウォートンというファイナンスで有名な学校でMBAを取得した身としては、とても複雑な気がします。ある意味ビジネススクールの役割とは、アメリカが推し進めていた新資本主義を強力にサポートする教団員養成所、神学校のようなものではないかなと思ったりするからです。

ビジネススクールで様々な授業を受けましたが、その中で一番面白かったのはやはりファイナンスでした。私は1991年に卒業しましたが、当時アメリカはメーカーが衰退、日本が絶好調でアメリカ買いをした時期でした。しかしながら、リバレッジを効かせて実業を買っていくようなファイナンスはすでに始まっていて、ジャンクボンドで我々ウォートンの星であるミルケン氏が捕まったのも、この時期でした。つまり、インベストメントバンカー達が生み出した、ファイナンスの新しい形がこの時期に次々生まれ始めたのです。

その2へ続く

2009-02-09 | | |

ビジネススクール

2008.12.12 .13:06:09

 

Wharton Logo

あまりにも前にビジネススクールを卒業しているので、さすがにMBAは役に立つかというような質問はされなくなりました。

実は、会社勤めをしていたときは知識的にはそれほど役に立つとは感じませんでした。起業してから、つまりバランスシートの右側や新たなファイナンスでコンテンツを考えることが必要とされるようになって、ようやく役に立つようになってきたと感じます。色んな国の人達と一緒に勉強してコミュニケーションをしたという経験は、卒業してからすぐに役に立っていますが!

エンタメ業界であれば、Legal もいいですね。ハリウッドにはLawyerが本当に多いですし、また音楽だったら、accountantかな。
今、もし若かったらどうするだろうか。中国、インドか欧州へ放浪か、やっぱりビジネススクールか・・・。

技術がわかるビジネスマンが最強かなと思いつつ、結局、好きなことを見つけられる人が、一番というのではどうでしょうか。

2008-12-12 | | |